9. 生きている内にしなければならないこと ②エンディングノートをつける

死期がある程度わかっている準備期間が持てる死に方は、ある意味幸せかもしれません。
なぜなら、それまでに物心両面で様々な死への準備ができて綺麗に死ねるからです。

お世話になった多くの人に感謝を伝えてから死ぬこともできます。
遺産も渡したい人に、揉めずに譲渡することができます。

問題を抱えている関係の人がいたら、勇気を持ってその人に抱えていた思いを伝えて、和解できることもあるでしょう。
愛するが故に我(が)が表出し、人間関係を複雑にしていることもよくあります。
そんな関係性の相手には「自分がどのような思いでいたのか」、「本当はどうしたかったのか」を伝えてから納得して死ぬことができます。
この世界ですべきことをやりつくして、生きぬいた実感と共に満足に死ぬことができるでしょう。

ところが突然死となるとそうはいきません。
大抵はエンディングノートなどの記録もありませんから、故人の家族は相当戸惑います。

残された人の気持ちの整理も短期間でできるものではありません。
突然死した人の家族は永い期間悲しみや寂しさで苦しむことになります。

また、どこに何が残されているのかわからないままになってしまいます。
特に、金融資産などがあれば、それを分かるようにしておかなければ譲渡したい大切な人に受け継げません。

誰が突然死するかは神のみぞ知るです。
日本の年間の死亡者数は約130万人ですが、その中でも急性心臓疾患が約3万人、脳血管疾患が約10万人います。
その他の突然死もありますから、自分自身がいつ突然死するかわかったものではありません。
それに対して準備を進めておくのが賢明です。

エンディングノートをつけるのは絶対といえましょう。
また、問題のある関係性の人がいたら、関係改善に向けて日頃から努力した方が悔いを残さない生き方ができるでしょう。

急性症状でなく段々と死が近づいて行くがんの様な病気でも、死ぬ人が死に際して思うことの一番のことは、

「自分はやりたいことをやってこなかった」

という後悔です。

人はやりたいこと、夢があっても、すぐに実現に向けて動き出せる人は極々僅かです。
たいていは、自分自身に言い訳をつけて重い腰をあげません。
そうこうしている内に、時期を逃し、気付いたら死の間際であったというのが、虚(むな)しくも大半の人の人生です。

やりたいこと、生きている内に実現したいことは先送りせずに、できるだけ早期に実現する様に努めた方が後悔なく死ぬことができます。

死を見つめることで生が充実する、死が生を輝かせる、というのは、このような理由によるのです。
決して暗い気持ちになるものではありません。

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